「Gt.フセタツアキ脱退のお知らせ」を知った夜

 メンバーの脱退。後後振り返ったら、それが飛躍のトリガーだったバンドもいるかもしれない。けれど、それをきっかけに活動休止や解散に歩を進めることになったバンドが、もっと多くいると思う。

 

 タイムラインをなんとなく追っていた時だった。「Gt.フセタツアキ脱退のお知らせ」という文字が目に飛び込んできたのは。

 不意にだった。ただ、「もしかしていつかは」と一度も過ったことがないわけではなかった。2つのバンドでそれぞれ違う役割を全うするには、分身が必要そうだった。

 

 

 Suck a Stew Dryを知ったのが、3rd.ミニアルバム「Wake me up!」のプロモーション。はじめてフセさんを観たのが、2015.11.8の恵比寿LIQUIDROOM

 遡ったほうが好みの曲が多かったが、音源ではなくライブで聴いてみたかった。実際にライブで聴いて、フセさんのギターからあえて放たれる雑音?に心地よさを感じた。コーラスはどこか艶めかしかった。MC、篠山さんとのやりとりでは、おちゃめな一面が楽しかった。

 

 そして、2016.1.10の新代田FEVER、ヨルニトケル企画「夜更かしー第三夜」で、はじめて布施さんのうたを聴いた。
 同じ人物で、こんなにも味が違うのかと驚いた。全く別として考えることが礼儀と思えるくらいに、異なっていた。異なれど、どちらも好きになった。

 

 2016.7.8の渋谷O-EASTSuck a Stew Dryのライブも、とてもよかった。ただ、2nd.フルアルバム「N/A」に収録されている曲と自分の今の心情は、去年の夏よりは一致しなくなっていた。

 「きっとまた」すごく好きになるから、そしたらまた観に行こう。それまでは音源を聴いていよう。そう思っていた矢先のお知らせだった。

 

 

 好きなバンドに「変わらないでいてほしい」と一瞬も思ったことのないファンなんて、いるのだろうか。「続いていくために売れてほしい」「いろんな曲が聴きたいから曲数増えてほしい」「でも自分が一番好きな時代の空気は失われてほしくない」

 けれど、変わっていくことは、可能性を否定しないことだと思うから。許容するしないの資格はファンにはないけれど、受け入れることで肯定したい。布施さんの可能性を。Suck a Stew Dryの可能性を。 

 

 かつての音源を装着すれば、いつだっていつにだって戻れる。あの頃の彼らの音に触れられる。それでも、フセタツアキがいるSuck a Stew Dryは、12月に時間を止めてしまう。生きている音を聴けるチャンスがあるのは、あと117日。

 

 12月6日を、私は目の当たりにしたい。「Suck a Stew Dryで育んだものを持ったまま、夜に溶けていってほしい」という想いを布施さんに向けるのは、まだ早い。 

 

 



 「その後の活動は一切未定となっております」から、フセさんが布施さんになった後、Suck a Stew Dryがどうなるか、私たちファンはまだ知らない。

 中身が変わって、それでも屋号Suck a Stew Dryは続いていくのか。それとも各各が、それぞれの活躍の場所に漕ぎ出すのか。どうなることになっても、5人に想うことはきっと同じ。

 

 「Suck a Stew Dryで5人で育んできたものを、願わくば捨てないで持っていってほしいです、できればでいいんで」